誰も彼もがスナフキン

私は、旅行に行くときは毎回ざっとその土地の有名なものや観光地、公共交通機関を下調べして、その上で何時にどこへ行くか、ご飯はどこで食べるかをあらかた決め、可能であれば予約までしてします。

ところが、世の中には特に行くあても決めず、目的地だけ決めたらあとの旅程はその日の流れで、というやり方で旅行をする人もいると聞きます。
その手の話を聞く度に、そういった「無計画さ」を楽しめるアバンギャルドな生き方、考え方を羨ましく感じてしまいます。なんというか、そっちの方が「旅行」というより「旅」を楽しんでる感を身に纏っている気がしませんか?私だけかもしれませんが、世間的にもそういう人の方がある種「粋な旅人」であるというふうに見られ
ている気がして、変な劣等感を抱くこともあります。

しかしながら、最近ふと思ったのですが、あらかじめ旅程を決めたい人もそうではない風来坊気質な方も、どちらも等しく「旅人」であり、どちらの方がより旅を楽しんでいるという優劣は無いような気がしませんか

思うに、あらかじめ予定を決めたい人は、ガイドブックやホームページの情報をもとに、その人なりに事前に旅を追体験(というのは時制が正しくないけれど、表現としてはこうなる)しており、その時点ではやっぱりフレッシュな心で、さながら今まさに駅に降り立ち「今日という日をどうしてやろうか」と期待に胸を躍らせている状態に他なりません。
要するに、彼らを分つものは駅を降り立つタイミングが早いか遅いかの違いでしかなく、つまりそれだけのことで、旅は等しく旅人を飲み込み、そしてそのうち吐き出すのです。
そして吐き出された旅人は、旅をしていた時のことを振り返り、あの時に戻りたいと思慕するのです。

そんなことを書いているうちに、そろそろ飛行機の搭乗ゲートが開く時間になってきました。あぁ、帰りたくないなぁ。

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